中国経済が世界経済を先導する形で回復するシナリオを期待させる経済指標が、4月以降発表されています。
世界経済に底入れの兆しが見えていますが、中国からの輸出は低迷から脱しておらず、輸出は前年対比で2割の落ち込みが続いています(1-4月輸出前年比-20.7%:下記のグラフ1参照)。このため、1−3月のGDP成長率は前年比+6.1%と、統計開始以降最大の落ち込みとなりました。リーマン・ブラザーズショック以降の輸出の落ち込みが、中国の経済成長を押し下げる構図は変わっていません。
ただし、輸出の停滞を背景に1−3月を平均してみると経済は低調でしたが、月次の経済指標をみると、3月以降企業の生産活動が回復しています。中国の3月の鉱工業生産指数(下記のグラフ2参照)は前年比+8.3%と、2008年9月以来の高い伸びを記録(1−2月平均は前年比+3.8%)。そして、4月も前年比+7.3%の伸びを維持しました。輸出の停滞を補い、財政政策の効果から企業の生産活動が回復していることを示しています。
米国頼みではなく、経済活動が回復していることは大きな意味を持ちます。これは、(1)当局の財政政策の発動が早かった、ことに加えて、(2)金融緩和で銀行融資を増やすことができる、という中国の政策対応の強みが現れたと言えます。世界的に金融危機の後遺症が残るリスクを考えると、この点は重要です。
一方で、ここ2ヶ月ポジティブな材料が目についた中国経済に、ネガティブなニュースも報道されました。5月19日の日経新聞によれば、中国政府は鉄鋼各社に減産の緊急命令を出したとのことです。この背景には、鉄鋼の在庫が大きく積み上がっているとされています。生産は回復していたが、実際には、財政政策による政府投資の裏づけが小さく、過剰在庫となっている可能性がでてきたということです。
これが正しければ、3,4月に高まった中国の鉱工業生産指数(下記のグラフ2参照)は、目先減速するリスクがあるということになります。この鉄鋼の減産が、生産活動全体に及ぼす影響は現段階では不透明ですが、リスク要因として留意したいと思います。
そうした意味で、6月11日以降随時発表される、5月分の鉱工業生産や設備投資などの経済指標に注目したいと思います。これらが大きく減速すれば、中国主導で世界経済が回復するシナリオに赤信号が灯り、市場のセンチメントに大きな影響を及ぼすかもしれません。逆に、そうした懸念が払拭されれば、中国経済に対する期待は一段と高まるでしょう。
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